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【脱原発】なゆのヒトリゴト 

反原発!脱原発! 卒原発!。。。電力は足りているのに何故原発は存在するのか!? 3月11日以降の原発情報を追う 原発はもういらないっ!

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【チェルノブイリ原発事故から甲状腺癌の発症を学ぶ 2009年10月24日 児玉龍彦氏】 

引用

チェルノブイリ原発事故

1986年4月26日午前1時23分、ウクライナ(当時ソビエト連邦)のチェルノブイリ原子力発電所の4号炉がメルトダウンを起こして爆発し、多量の放射性化合物が、ウクライナ・ベラルーシ・ロシアを汚染した。
当初、事故の程度と放射線量を過小評価したため、原発勤務者・消火にきた消防士など237名が急性放射線障害をうけ、3ヶ月以内に28人が死亡し、今日までに50名以上が亡くなっている。
こうした誰の目にも明らかな急性放射線障害と比べて、その因果関係が問題となり今日も議論が続いているのが時間が経ってから起こるがんなどの放射線による健康被害である。当初はヨード131(半減期8日)が汚染の中心で、現在ではセシウム137(半減期30年)の影響が大きいと考えられる。

20年経った後のウィーンとミンスク・キエフで国際会議が行われた。国際フォーラムで4000名の甲状腺癌発症がコンセンサスとされ、一方「それ以外の白血病も含めた癌疾患の増加は科学的には認められない」という報告書が作成された。
表に国際原子力機関(IAEA)の被害のまとめと、主な結論を載せた。(表1・2)

kizi202.jpg

kizi203.jpg


この評価は一見以外にも見える。4000名を超える癌が甲状腺でみられたのに、他の臓器では本当にがんの増加は起こらなかったと言えるのだろうか?
だが実は、ここに今日の”エビデンス”議論の迷路がよく見えてくる。


小児甲状腺癌の増加の原因をめぐる論争

甲状腺癌の増加について、事故後20年目の国際会議におけるミンスクので見チック博士の報告を長滝先生から提供頂いた(図1)

kizi201.jpg
図1

ここでは成人のがんの議論はさておいて、黒線のグラフで示す小児甲状腺癌発症数に注目したい。
事故から10年単位で増加し、減少していったという大きなダイナミックな変化が明確に示されている。

調査の経過をみてみよう。事故3年目の1989年から、IAEAがわが国の重松逸造所長を委員長とする国際諮問委員会を設けて、健康被害の調査を始めた。
1990年に5歳から10歳の子どもについては、汚染地区から325名、対象地域から255名が調査対象となり、甲状腺肥大が汚染地域で5.5%、対象地域で7.5%と変化なく、甲状腺結節も汚染地域で0.6%、対象地域で0.8%と違いがないと報告された。
確かに1990年までは増加はほとんどない。
ところが、その翌年の日ソ委員会で、ベラルーシの首都・ミンスクのデミチック教授が欧米でも日本でも通常であれば100万人に1人される、非常に珍しい小児甲状腺癌の増加を報告した。

汚染地域の子供には、乳頭癌が後から後から報告され、しかも転移の少ない癌のはずなのに、多くの例で肺に転移がみられた。ここから研究者のエビデンスをめぐる議論の迷走が始まる。

この報告を指示するEUの委員に対し、アメリカとロシアの委員は因果関係を示すエビデンスがあるのかと、懐疑的な意見を述べる。
第一に、ベラルーシには多くて他の被害地域のウクライナ・ロシアに増加の報告がない。特に、チェルノブイリの補償に責任をもつロシア政府は1995年まで甲状腺癌増加はないとしていた。

第二に、集団の母数がないので、統計的な処理ができないという指摘である。比較的良性の甲状腺癌は原発事故とかかわりなく潜在的に多数いた可能性があり、注意深い検診を増やせば発見率が増えた可能性がある。

第三に、短寿命なヨード131(半減期8.1日)が原因の甲状腺癌が、どうして5年も経ってから増加し始めるのか、と言う疑問である。
EU委員は、小児甲状腺癌の増加を認め、
『Nature』誌に登校するが、アメリカ委員はエビデンスにかけるとして反対、そしてわが国の重松博士は、Thiessen らとともに、エビデンスの欠如を懐疑するコメントを『Nature』誌に送った。

◇エビデンスは地域全体の情報からしか得られない
-検出力の低いアメリカ型メガスタディ


唯一の被爆国であるわが国は、官民あげて支援に取り組み、笹川財団の支援で、まず国の子供の総数である母数の分母を明らかにした統計を出し、その後ベラルーシの国全体の手術数を分子とし、小児甲状腺癌の国全体での数を見る「全数調査」が可能となった。
このデータが、図1に示す1995年をピークとする小児甲状腺癌の増加であり、それが96年から減少していくことも被爆との関連をサポートする結果となった。

また、この地域では小児の潜在性の甲状腺癌は稀であるとの報告、またヨード131が事故直後に飛散した地域を中心とする発症であるとの推計などから、事故直後の対応の遅れからヨード131による汚染がミルクを通じて小児の甲状腺癌が集積したとの推測が強まった。

一方、対照的に笹川財団の支援でアメリカ型の”エビデンス”を求めて5万人の子供に対する超音波と針生検による検診では、1995年まで汚染地域に特に甲状腺癌の増加を証明することはできなかった。
これは地域の子供を多数集めて検診しても、その群の均質化が難しいことを印象付ける。このように、ある事故から一定期間のみに集積するがんの発症では、地域の全数検査を基本としないと、なんらかのバイアスによりそもそも群間の違いが大きくなり統計学的差異を検出できなくなりやすい。

わが国の協力は現地で地道に継続され、その結果16万人の児童の甲状腺ならびに血液検査が行われ、全員にセシウム137線量が測定され、わが国と現地の強い絆が形成された。
信州大学の助教授だった菅谷 昭氏のように大学を辞職して現地で甲状腺癌手術と指導に5年間取り組む医師も現れた。
日本プロ是区とは4000例の1割を超える例を発見されている。

未曾有の、被爆誘導がん健康被害に対して20年後の2005年段階になり、ようやく「甲状腺癌増加の原因が原発事故である」というのが世界の研究者のコンセンサスとなるにいたった。その時すでに小児癌発症は終焉をとげていた。

◇エビデンスと言う名の迷路
-甲状腺癌だから明らかになった


20周年の研究者集団の報告は、小児甲状腺癌の4000名の増加と裏腹に「他の癌が増加したとは証明されていない」としている。

なぜ甲状腺癌だけなのだろうか?

それは甲状腺癌の発症における特殊性を理解しておかねばならない。甲状腺癌は女性に多く、年間10万人あたり3人がが罹患し,男性はその 5 分の 1 とされる.20 歳かそれ以前から 70 歳まで分布し,普通のがんと違い,若い人ほど予後がよい.
乳頭癌が約 9 割を占め,そのうち 9 割は予後がよい.手術でも腫瘍部位だけの切除で十分なことが多く,リンパ節に転移しても,その部位の切除だけで済むこともある.

つまり,比較的予後のよい,いわば潜在がんに近い性質をもつ腫瘍が類似した経過で起こるという特徴をもつ.

甲状腺癌に特徴な染色体変化は,膜受容体型のチロシンキナーゼである RET 遺伝子の変異である.RET 遺伝子は,放射線障害によって逆位や転座を生じやすく,原爆症患者やチェルノブイリ
者の甲状腺癌細胞に多くみられ,ヨード 131 の蓄積により引き起こされた可能性が強い5,6). 
チェルノブイリでは,事故直後にヨード 131 が大量に散布され,それをまず乳牛が食べ第一段階の生物学的濃縮が起こり,つぎにそのミルクを飲んだ児童に第二段階の生物学的濃縮が起こった可能性が強いと思われる.

甲状腺では RET 遺伝の変異が起こりやすく、比較的短期の時系列で集中的に発症がみられたため”エビデンス”が得やすかったのであろう。
それでも疫学的エビデンスを集めるには20年かかったのである。
放射線被爆後の9年目まで5万例を集めて検診しても、統計学的に有意となるまでの数にはならないのである。
いわゆる恣意的に患者を集めるだけでは、起こりつつある病気の因果関係の証明には検出力が低い場合が多い。

わが国の原爆の追跡調査でも固型癌の増加は被爆後10年前後から認められたという。

◇極端な奨励がリアルタイムの知識を支える

性質が特徴的である小児の甲状腺癌といっても、ウシとヒトの2段階の生物学的濃縮と、2段階の遺伝子変化を経て発症までには長い時間がかかっている。
こうした場合に、数万人集めて検診を行っても、なかなか因果関係を証明できない。
エビデンスが得られるのは20年経って全経過を観測できてからである。
これでは患者の役には立たない。

それでは、病気が実際に起こっている段階で医療従事者はどのように健康被害を発見したらいいのか。
ここで、普通で起こりない「肺転移を伴った甲状腺癌が小児に次から次とみられた」と言う極端な、いわば終末形の変化を実感することが極めて重要になってくる。
軽微な変化を多数見るのではなく、極端な減少に注意するという事が警報としてもっとも大事であろう。

もっとも早く変化の意味を知るには、極端な状態を見るとよい、という複雑系の問題の解き方ときわめて類似している。
エントロピーという概念は、10℃から90℃の水野変化をいくらみても分からないが、氷が水になるときの融解熱や水が蒸発する時の気化熱から簡単に類維することができる。

いわば気化熱にあたるのが、子供の肺転移を伴った甲状腺乳頭癌の増加であり、その分子機構としてRET遺伝子異変の増加が放射線障害を示唆することにきづくことが重要である。

放射線の組織への蓄積や作用が甲状腺ほど明確でなく、また様々な遺伝子に異変が起こり得て、しかも発症までの時間がもっと長い成人のその他のがんでは、統計学的エビデンスを得るのはきわめて困難であろう。
被爆者の健康被害者研究に携わってきた長滝医師は「国際機関で”因果関係があると結論するにはデータが不十分である”という表現は、科学的には放射線に起因するとは認められないということである。
ただし科学的に認められないということは、あくまで認められないということで、起因しないと結論しているわけではない」と指摘する。

原爆症の認定においても、「司法、行政、政治、科学、報道がそれぞれの範疇の論理にとどまらず、唯一の被爆国としての日本国としての立場を念頭に置くことを希望する」という総合的な価値判断を強調されている。


医学のあゆみ Vol. 231 No. 4 2009. 10. 2から転用

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tag: チェルノブイリ  ベラルーシ  小児  甲状腺癌  発症 
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